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0 4 2 3  「継手」の本能的な美しさ 
0 4 2 3  「継手」の本能的な美しさ _c0006990_20291568.jpgJoinery-継手の文化 M.Y Yokoyama 展
@ GALLERY le bain

ギャラ間で行われている卒業設計日本一展2006を見て、了二先生の物質試行20 : 麻布EDGE物質試行48 : NFFlatsをめぐった後、西麻布界隈を彷徨っていると、ふといい雰囲気を漂わせている小さなギャラリーをみつけたので、そこでたまたまやっていたJoinery-継手の文化 M.Y Yokoyama 展に、何気なく足を踏み入れてみた。
- 木を主材料とした造作物にとって継手と組物は実にミステリアスな工法である。法隆寺の金堂の初重、二重の梁と軒の垂下防止の支え棒、そして肘木など実に不可解である。継手組物は全体から見たら部分にすぎない。だが、全体を凌駕するほどの存在感である。組手を利用した横山の家具も部分の表現だが、全体の中で実に美しく存在している。/内田繁
椅子やちゃぶ台から、小物入れや文鎮などの小物、果てはオブジェにいたるまで、いろいろなモノが継手の機構によって組み立てられている。個人的にいちばん感動したのは、継手で組み合うようにつくられた木製のペアチョーカーだった。これ以上に継手のコンセプトがすみずみにまで消化され体現されているプロダクトはないといっても過言じゃないだろう。

椅子やテーブルや小物入れは、分解してまるごとひとつの「箱」として納めてしまうことができる。つまり、使いたいとき必要に応じて「箱」からパーツを取り出し、「箱」もろとも組みあげて、あるひとつのモノをくみ上げていくのだ(ちょうど上のフライヤーの「ベンチ」ようなかんじで)。デザイナーの横山稔氏(静岡文化芸術大学 デザイン学部空間造形学科 助教授) がいらっしゃったので、そのことの意味みたいなことを聞いてみたのだけれど、それは、あくまでつねに「しつらえ」として空間の中に適宜置かれ/しまわれていた日本特有のモノのありかたを、モノの全体形として象徴している、ということなのだそうだ。なるほど。

継手機構の種類は驚くほど豊富で、一寸の隙間もない複雑な継目の組み合いを見ていると、無条件にとても「幸せ」になる。それはたぶん、モノに対する、本能的な、これ以上にない、何か全面的な「信頼」によるものといってもいいだろう。この「信頼」のあり方みたいなものは、継手に留まらず、とても面白い方向に読み込むことができるかもしれない、なんて考えてみる。
by frdmoptn | 2006-08-23 21:02
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