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0 4 7 9  《物質試行49》 トークセッション第一弾 
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《物質試行49》出版記念トークセッション、鈴木了二×藤塚光政×山岸剛×西沢立衛、「写真/映像/建築」 へ。

ヒルサイドテラスにて。一昨日にひきつづき再び自転車で代官山へ。会場であるH棟のスタジオはちょうどいい具合にこじんまりしていて気持ちがいい。友人と早々に前の席を陣取り待機。開始直前、同じくヒルサイドテラスの別棟で行われているトウキョウ建築コレクション・全国修士設計公開講評会にて、修計でヘルプをしていた石山研のK谷さんがグランプリを獲得したことを知る。用意された数十席ほどの椅子がしだいに満席になって立ち見も出るくらいになったころ、定刻を数分すぎてセッションがはじまる。

"写真とは写真家のフィルターを通した一種の「批評」であり、この作品集は一冊にまとめられた批評の集積である、その意味で、それはなにかしら「自分の外におかれたもの」であるし、あるいは、「物質試行」でありながら通常のそれとは別の力学を帯びている、だからこそどこか愛着があって枕元に置いておきたいのだ"、と、いつもの軽妙な語り口で了二先生が語り始める。"「物質試行」という言葉が自分とは離れたところで普通名詞化してきたみたいだ"という一言は印象的だった。"「物質的なもの・リアルなもの」と、それとは別の「非物質的なもの・ヴァーチャルなもの」、それらは昨今そう簡単に峻別できなくなってきたのだ"、というようなことを述べた上で、それゆえこその「映像的なもの」への関心の論拠を示しつつ、写真/映像/建築を横断するトークが進んでいく。

今回の目玉はなんといっても、16mmフィルム、物質試行35《映画「空地・空洞・空隙」》。これは、ひとつ前の物質試行《ギャラリー間展覧会「空地・空洞・空隙」》の記録映像であり、これまでに上映されたことが数回あるかないかくらいらしく、とにかく貴重な機会らしい。映写機にかけられたフィルムがコトコトと小気味いい音を立てながら壁面に映し出される。ほんの10数分のショートフィルムにしばし心地よく見入る。創作者にとって映像とは、自在にフレーム操作が可能な、実に有効な「保存」あるいは「再編」手段でもありうるのだ。

そのあとは、「物質試行」という言葉やスタンスをめぐってときどき意見が交わされたり、藤塚氏による西沢さんの《森山邸》や山岸氏による《物質試行47 金刀比羅宮》の写真のスライドなどが登場しながら、「風景」やその「感受性」といったような方向にトークが進む。

西沢さんが、"建築か映画か写真かドローイングか、はたまた書籍か家具かインスタレーションか、そういったジャンルを問わず「物質試行」という一貫した姿勢の中に等しく創作をしていくことは、既成のフレームにとらわれることなくつねに「最短距離」で創作に対峙しているのであり、それは創る人間として非常に共感するのだ"、というようなことを述べていたのだけれど、そんな中で(そして先の「風景」という話の展開上で)、ひょっとしたら「物質試行」とは、鈴木了二にとってのそれこそ「風景」なのではないか、その総体なのではないだろうかと、ふと思った。"模型が主役であることもあれば、ドローイングが優先することもあり、建築とは時にそのためのそれこそ「モデル」でしかない"のだ。対象に対する序列のない創作のまなざしの中にある、了二的な「風景」のひとまずの「フレーム」、それが「物質試行」なのではないか。

- 物質試行は概して、既成の言葉によっては、なかなか表現し難いものである。うまく表現できないからこそ「物質試行」とでも、とりあえず名付けておくしかない。そう呼ぶことによって、放っておけば直ぐに既成の枠組みのなかに消失しかねないものたちを、しばらくの間、少しでも避難させておく保護シェルターのような役割が物質試行にはある。(p.194「『物質試行49』の始まり」)

2時間あまりでセッションは終了。再来週個人的に訪れるつもりの《金刀比羅宮》見学の許諾書を了二先生に依頼、作成を快諾していただく。その後受付で作品集を購入。No.1からNo.48までのすべてのプロジェクトの写真と、中谷礼仁氏らの論考が収録されている。ちょっと目を通しただけだけれど中谷氏の文章はとてもおもしろそうだ(書き出しにやられた)。黒の布地の装丁に黄緑色の帯のコントラストが鮮やか。写真はすべてモノクロームできれいな光沢紙にデリケートに落とされている。あくまで「写真集」であり図面はない、けれどもたぶん図面があったら、こいつは「物質試行」にはナンバリングされていなかったのだろう、と思う。

今日は、同じく刊行記念のトークセッション、八束はじめ氏との対談。テーマが「物質試行とは、なにか」だけに、よりいっそう興味深そうな内容だ。
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by frdmoptn | 2007-03-11 08:40
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