最新のトラックバック
リンク
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
幾分風がつよく、吹雪というわけではないが、低く垂れ込めた雲から間断なく雪がうまれて吹きすさんでいる。晩冬の日本海は見渡す限り白波が立っていて、波頭がひっきりなしにこわれて海岸の岩場をあらっている。
切妻の屋根を低く伏せ、肩を並べるようにして寄り添う家々と、そのすぐ背後に立ち上がって家々を抱く岩山。ディーゼル鉄道の単線軌道と一本の国道が、岩場と家々と岩山の合間を器用に縫って走る。 海に対峙するものはそんなところがすべてで、それらの図式が一様に海風に晒されてモノクロームの世界に息を潜めている。 岩場に湧き出る小さな温泉に浸かろうと、着ているものを脱ぎとって適当な岩に掛ける。何気なく振り返って再び海を視認したとき、不意に打たれて、その風景の中に立ち尽くした。 別に特段、何が破綻しているというわけではないのだけれども、その「図式」を最終的に調停しとりまとめているものは、全身に否応なしに押しむかってくる、このとどろく海の音に間違いないのだ。 俄然強まった海風にふと我に返って、凍える身を早々に湯に沈める。 雪がやまない。 ** 水平線には、雪が激しく落ちているのだろう、ある部分では真っ黒な雲がほとんど海にくっついていて、またある部分では、不意に雲が切れて陽光が斜めに注ぎ、海面がウロコのようにキラキラと光っている。 轟音の先、それがここからどの程度の距離なのかまったく見当がつかないあたりを、フェリーがひとつ、音もなくするすると移動している。 関連記事 0 2 9 9 石狩浜
by frdmoptn
| 2007-03-19 23:22
|
|
ファン申請 |
||